毎日のように聞くご質問です。
これは医師の技術によるところが大きいと考えており、当院では日々研鑽して苦痛のない様に行っているつもりです。当院での大腸内視鏡検査件数は以前に比べて倍増しており、これは皆様方にご好評頂いている証と自負しております。しかし、それでも絶対に”苦痛がない”と言えばウソになります。以前に開腹手術を受けられた方、腸管の癒着がある方、腸が異常に長い方などは検査中に多少の痛みを訴えられることがあります。
「胃カメラより楽だった!」「これなら毎年受けてもいい」、と言っていただけたときが一番うれしいですね!
以前につらい目にあった、と言う方は是非一度ご相談ください。
「鼻からの胃カメラ」は、「経鼻内視鏡」と言います。経鼻内視鏡の検査に用いる内視鏡は直径約5ミリ(従来の胃カメラのほぼ半分の太さ)で、「極細径内視鏡」と呼ばれています。写真をご覧下さい。上から、通常の経口内視鏡、エンピツ、極細径内視鏡の順にならべています。エンピツより細い!といえば、理解していただけると思います。この細さのために、鼻から挿入することが可能になりました。鼻から入れる事によって、舌の奥や喉の奥などの「おえっ」となりやすい場所に胃カメラが当たりにくくなるのです。簡単に言うと、「細い胃カメラ」を「喉に当たりにくい場所から入れる」事によって、少しでも楽に胃カメラができる、ということなのです。さらに、検査中に普通に会話ができます。実際に当院で経鼻内視鏡検査を行った患者さんは、全員「今後は絶対にこの方法で胃カメラをしてほしい」とおっしゃっています。
しかし良いことばかりではなく、欠点もあります。まず、内視鏡が細いために、見える画像の解像度が多少落ちてしまいます。しかも当院の通常内視鏡はハイビジョン画像ですので、比較すると見劣りすることは否めません。次に、鼻から内視鏡を入れることにより、検査後に鼻血が出ることがあります。この頻度は、統計によると10人に1人と言われています。また、鼻の中が狭いために5ミリの胃カメラがどうしても通らない人もいます。この場合は「経鼻」操作を断念せざるを得ませんので、この細径胃カメラを通常の様に口から挿入(「経口」と言います)することになります。また、鼻に物を通す事に抵抗がある方も、ご希望により経口で行うことができます。
このように長所も欠点もあります。一言で言ってしまうと、「胃カメラが死ぬほどつらかったのでなるべく受けたくない」けど「心配なので楽に胃を見てほしいな~」という人にはお勧めできる検査法ですが、「早期の胃癌がないかきっちり見てほしい」という人にはあまり向かない、ということです。ですから、胃癌の心配がない若い人や、人間ドックをご希望の方に特にお勧めします。
ちなみに、今回当院で導入する最新型極細径胃カメラは、生検(組織を少し取って顕微鏡の検査をすること)やピロリ菌の検査等、胃カメラの操作性は従来の通常内視鏡と同等です(旧式の細径胃カメラは操作性が劣ります)。また、見える画像も十分実用に耐えるようになってきたため導入に踏み切りました。
どちらの胃カメラを受けた方がいいかは、当院を受診の上お気軽にご相談ください。